まだ若いけど・・・遺品整理します

12歳の頃から書いてきた日記が、たまりにたまって400冊。処分する前に、かつての熱い想いをブログ上に残しておこうと思いました。

「作文が表彰されたこと」1981.10.19.


10月19日(月)


 今日はね、朝からムンムン暑くて、朝会もポケ~。やっと校長先生の話が終わって、もうちょっとだと思ってた時・・・「表彰者がいます」の声。え、なんだろ。「1年1組、高橋遥子さん」え~~私、一瞬どきっとしたね。1年1組はわかったけど、あれ~高橋って、私の名前・・・って感じ。「えっ、何、なんかあった・・・?」本当に、何がなんだか分からなかったよ。前に出て下さいって言うから、しょうがなくさ・・・でも何の賞だかさっぱりわからないの。


 先生が賞状を読んで、やっと分かった。夏休みに書いた、福祉についての作文です。良かったらしいんです。まさか・・・私がこんな賞をとれるなんて夢にも思わなかったよ。急いで書いた作文だし、本当の気持ちを多少かっこうつけて書いただけ。かっこうつけなくちゃひどいんだもん。
 最近、作文なんかぜんぜんほめられなかったから、あまりにもとつぜんの受賞におどろいた。


 教室に入ったら、きーちゃんにわざとらしく喜ばれて、思い出したの。きーちゃんってね、ちょっとうぬぼれてて自分で自分の作文を「うまいでしょ。感動しちゃうー」なんて言ってたの。だから、私はすっかり作文に対しての自信をなくしてました。つまり、うぬぼれてなかったために、突然の受賞。私もそういえば小学校でうぬぼれてたころ、友達が受賞して、私の方がうまいのにと思いながら、わざとらしくオーバーに喜んであげたものです。
 そんでまた、うぬぼれない方が得という気持ちになりました。


 そして、帰ってから。なんとなく見せびらかしたい気持ちでお姉ちゃんに「パパの机の上の賞状見た?」と言った。したら、「うん・・・私、夏休みにあの作文読んだけど、あんまりよくないよ、あれ。なんとなく、日ごろの生活と結びついてないじゃん」と言われて・・・。「なんだ。下手な作文がいくら選ばれたからって、喜んでバカみたい」と思った。正直なところ、私もそんなに満足する出来ではなかったんだ。だから、すごくがっかりした。


 と、3つの心をもった出来事でした。


* * * * * * * *



 作文や童話などを褒められたことは何度かありますが、表彰されたのは後にも先にもこの時、1度きりです。なのに作文も賞状も残っていないし、なんという賞だったかも憶えていません。


「うぬぼれ」という言葉が出てきますが、要するに「調子に乗るな」と言いたいのだと思います。調子に乗らずに、でもちゃんと自信を持って日々生きていたのなら、私の人生は今頃だいぶ違ったものになっていたはず。しかし私は変に調子に乗っていたために(そのくせ真の自信はまったく持てなかったために)いろいろ失敗してきました。失敗する前に逃げてもいました。
 今となっては、当時の私に「うぬぼれてても調子に乗っててもいいから、前向きに頑張れ!」と言いたい。もう遅いですね。




 福祉がテーマということですが・・・。私はずいぶん前から、福祉の仕事がしたいと漠然と思っていました。周囲に福祉施設があったわけでもなく、そういう方々と触れ合った経験もないのに。おそらく、福祉関係の仕事をすることによって社会に貢献できると考えていたのでしょう。それしか方法が思いつかなかったのだと思います。
 その後も長い間、福祉分野とはまったく無縁の生活をしていました。が、なんと去年より福祉施設で働いています。貢献だなんだという理由ではなく、ただ生活のためでした。が、誰かのお役に立っているというのが、今の私のささやかな喜びです。


 まったく、人生とはわからないものです。

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